オペラ座の怪人 (文庫)
出版社/著者からの内容紹介
夜ごと華麗な舞台が繰り広げられるオペラ座。だが、その地下では全く別のドラマが進行していた。幽霊騒ぎを端緒に、続発する奇怪な出来事。恋い慕う歌姫を追って事件に巻き込まれたシャニイ子爵の運命は? 人外境と化したオペラ座の奈落の闇にひそむ幽霊とは何ものなのか? 『黄色い部屋の謎』と並び称される、ルルーの代表的傑作!
夜の果てへの旅〈上〉 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
全世界の欺瞞を呪詛し、その糾弾に生涯を賭け、ついに絶望的な闘いに傷つき倒れた“呪われた作家”セリーヌの自伝的小説。上巻は、第一次世界大戦に志願入隊し、武勲をたてるも、重傷を負い、強い反戦思想をうえつけられ、各地を遍歴してゆく様を描く。一部改訳の決定版。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
セリーヌ
筆名。1894年、パリ西北方の都市クールブヴォワに生まれ、貧しさのなかで独学を続けて医師免状を得る。第一次大戦で騎兵軍曹として武勲をたて、復員後、国連事務局に勤め、各国を遍歴してから、パリの場末で医師を開業。1932年、本書で一挙に作家の名声を確立したが、反資本・反ユダヤ主義の立場からフランスの現状を痛罵した時事論集などのために、第二次大戦後、戦犯に問われ、亡命先のデンマークで投獄された。特赦で帰国したが、61年、不遇と貧困のうちに歿し、その墓石には“否”の一語だけが刻まれた
生田 耕作
大正13年(1924)、京都に生まれる。京大仏文科卒。京大名誉教授。平成6年10月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
失われた時を求めて〈8〉第四篇 ソドムとゴモラ〈2〉 (文庫)
出版社/著者からの内容紹介
アルベルチーヌの同性愛への疑惑と嫉妬。
語り手はアルベルチーヌへの愛情と嫉妬に悩みつつ、早くも倦怠を意識する。が、彼女の口からヴァントゥイユ嬢の女友達と知り合いだと聞かされ、嫉妬のあまり、母親に彼女との結婚の意志を告げる。
内容(「BOOK」データベースより)
ヴェルデュラン夫人が、連日のように晩餐会を開いている(第四篇2第2章・続)。語り手は運転手つきの自動車をやとって、アルベルチーヌとバルベック効外を散策する。一方、シャルリュスは、ヴァイオリニストのモレルに会うために、ヴェルデュラン夫妻のサロンの常連になっている(第四篇2第3章)。アルベルチーヌの同性愛への疑惑と嫉妬。彼女を隔離しなければならない。語り手は母親に、アルベルチーヌとの結婚を告げる(第四篇2第四章)。
パルムの僧院〈下〉 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
叔母のサンセヴェリーナ公爵夫人やその愛人で公国の宰相モスカ伯爵、クレリアらの助けでファブリスは脱獄に成功した。だが愛する人への想いに駆られ、自ら牢獄へ戻る。やがて政争の果てに新大公が誕生、放免されたファブリスは聖職者となるが…。恋に、政治に、宮廷に生きる人々の情熱的な姿を鮮やかに描き、ルネサンス期のイタリアを愛したスタンダールの晩年を代表する名作。
トリスタン・イズー物語 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
愛の秘薬を誤って飲みかわしてしまった王妃イズーと王の甥トリスタン。この時から2人は死に至るまでやむことのない永遠の愛に結びつけられる。ヨーロッパ中世最大のこの恋物語は、世の掟も理非分別も超越して愛しあう“情熱恋愛の神話”として人々の心に深くやきつき、西欧人の恋愛観の形成に大きく影響を与えた。
悪童日記 (文庫)
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ハンガリー生まれのアゴタ・クリストフは幼少期を第二次大戦の戦禍の中で過ごし、1956年には社会主義国家となった母国を捨てて西側に亡命している。生い立ちがヨーロッパ現代史そのものを体現している女性である。彼女の処女小説である本作品も、ひとまずは東欧の現代史に照らして読めるが、全体のテイストは歴史小説というよりはむしろエンターテインメント性の強い「寓話」に近い。
そもそもこの小説には人名や地名はおろか、固有名詞はいっさい登場しない。語り手は双子の兄弟「ぼくら」である。戦禍を逃れ、祖母に預けられた「ぼくら」は、孤立無援の状況の中で、生き抜くための術を一から習得し、独学で教育を身につけ、そして目に映った事実のみを「日記」に記していく。彼等の壮絶なサバイバル日記がこの小説なのである。肉親の死に直面しても動じることなく、時には殺人をも犯すこの兄弟はまさに怪物であるが、少年から「少年らしさ」の一切を削ぎ落とすことで、作者は極めて純度の高い人間性のエッセンスを抽出することに成功している。彼らの目を通して、余計な情報を極力排し、朴訥(ぼくとつ)な言葉で書かれた描写は、戦争のもたらす狂気の本質を強く露呈する。
凝りに凝ったスタイル、それでいて読みやすく、先の見えない展開、さらに奥底にはヨーロッパの歴史の重みをうかがわせる、と実に多彩な悦びを与えてくれる作品である。続編の『証拠』『第三の嘘』も本作に劣らない傑作である。(三木秀則)
内容(「BOOK」データベースより)
戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。
失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉 (文庫)
出版社 / 著者からの内容紹介
無意志的意志によって蘇る全コンブレー。
ある冬の日、紅茶にひたしたひと口のマドレーヌからふと蘇るコンブレーの記憶、サンザシの花、少女ジルベルトの瞳、サン=ティレールの鐘塔。そこで過ごした少年の日々を貫く二つの散歩道??。
内容(「BOOK」データベースより)
語り手が眠りに引き込まれてゆく描写から、小説は始まる。夢現の状態、目ざめ、そのときに思い起こすコンブレーでの幼年時代、母が与えてくれた「おやすみ」のキス…。しかしこれらの記憶は断片的で、本当に生きた過去を返してはくれない。ところが後になって、ある冬の日に、何気なく紅茶に浸したプチット・マドレーヌを口に入れたとたん、幼年時代に味わった同じマドレーヌが思い出され、それと同時に全コンブレーの生きた姿が蘇る(第一篇第一部)。
夜の果てへの旅〈上〉 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
全世界の欺瞞を呪詛し、その糾弾に生涯を賭け、ついに絶望的な闘いに傷つき倒れた“呪われた作家”セリーヌの自伝的小説。上巻は、第一次世界大戦に志願入隊し、武勲をたてるも、重傷を負い、強い反戦思想をうえつけられ、各地を遍歴してゆく様を描く。一部改訳の決定版。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
セリーヌ
筆名。1894年、パリ西北方の都市クールブヴォワに生まれ、貧しさのなかで独学を続けて医師免状を得る。第一次大戦で騎兵軍曹として武勲をたて、復員後、国連事務局に勤め、各国を遍歴してから、パリの場末で医師を開業。1932年、本書で一挙に作家の名声を確立したが、反資本・反ユダヤ主義の立場からフランスの現状を痛罵した時事論集などのために、第二次大戦後、戦犯に問われ、亡命先のデンマークで投獄された。特赦で帰国したが、61年、不遇と貧困のうちに歿し、その墓石には“否”の一語だけが刻まれた
生田 耕作
大正13年(1924)、京都に生まれる。京大仏文科卒。京大名誉教授。平成6年10月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
牝猫 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
人間どうしさながらに意志をかよわせ睦みあう青年アランと愛猫サア。アランの愛のみを待ちうける新妻カミーユの不満は、やがて「第三者」サアに対するいらだちと嫉妬の心にかわってゆく…。20世紀フランス文壇の女王コレット(1873‐1954)が、一匹の牝猫をはさんだ若い新婚男女の微妙な心理を繊細な感覚でとらえた円熟期の代表作。
モンテ・クリスト伯〈4〉 (文庫)
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今も昔も復讐鬼の物語が人々の心を惹きつけてやまないのは、それが幸福と安寧に背を向けた人間の究極の姿だからであろう。世界の文学史上最も有名な復讐鬼、モンテ・クリスト伯。19世紀フランスの文豪、デュマが創造したこの人物もまた、目的を果たすごとに、底なしの泥沼へと一歩足を踏み入れていく。
本名、エドモン・ダンテス。マルセイユの前途有望な船乗りだった彼は、知人たちの陰謀から無実の罪で捕えられ、14年間の牢獄生活を送る。脱獄を果たし、莫大な財宝を手に入れたダンテスは、モンテ・クリスト伯と名乗ってパリの社交界に登場し、壮大な復讐劇を開始する…。
文庫本で7冊の大著である。物語に多少「できすぎ」の感もあるが、そんな懸念をすぐに吹き飛ばしてくれるほど波状に富んだ展開で、息をつく暇もなく読み通してしまう。フランス文学の大著といっても、机に向かって姿勢を正して読む、というよりは寝そべりながら読むうちについ夜更かししてしまう、というタイプの作品である。
何と言ってもこの小説の白眉は、伯爵の用意周到かつ執拗な復讐の過程である。着々と目的を遂行していく姿が、心理描写をいっさい排した文体で描かれ、後年のハード・ボイルド文学をも連想させる。
復讐の物語にハッピー・エンドはあり得ない。もしあるとすれば、主人公がどこかで「妥協」を見出す必要があろう。モンテ・クリスト伯が最後にどんな選択をするのかも、読みどころのひとつである。(三木秀則)